液状化地盤中の杭の挙動と設計法に関するシンポジウムに参加しました2004年12月7〜8日に東京都で「液状化地盤中の杭の挙動と設計法に関するシンポジウム2004(主催:社団法人地盤工学会)が開催されました。 1995年兵庫県南部地震では、臨海部の埋め立て地盤が多くの被害を受けました。特に、液状化や液状化に伴う流動の発生した地盤における杭の被害には大きいものがありました。この地震を契機にして多くの基準類の見直しが行われてきましたが、地震から10年近く経過した現在でも、杭の被害のメカニズムは必ずしも明瞭になっているとは言い難く、したがって、適切な設計法も提案されていないのが現状と言えます。 このような現状認識から、2001年6月に「液状化地盤中の杭の挙動と設計法に関する研究委員会」が地盤工学会に設置され、設計法という観点から合理的な手法の枠組みを提案すべく、約3年にわたり検討されました。 今回のシンポジウムでは、上記研究委員会の研究成果を広く会員に公開するとともに、論文を募集して、液状化地盤中の杭の挙動と設計法に関して議論を尽くすことを目的に開催されたものです。 シンポジウムでは、研究委員会に設置された次の5つのWGごとに活動成果が報告され、引き続き関連する論文の発表と質疑応答が行われました。
参加者は定員をはるかにオーバーし、地盤工学会本部の大会議室から人があふれ、通路にテーブルとイスを配置したほどでした。10月23日に発生した中越地震でも液状化が生じており、関心が高まったせいではないかと思われます。質疑応答は非常に活発で、研究委員会のメンバーと委員会メンバー以外の研究者間、ならびに委員会のメンバー同士の間でも議論が交わされました。 現状では、液状化・流動化に対する各種構造物の具体的な設計基準は、各々関係機関などで策定され、構造物ごとに液状化・流動化に対して設計・検討が行われています。しかし、地盤定数や液状化・流動化現象の予測値は、地盤に応じて設定されるべきです。分野横断的に調査・研究の現状分析を行い、研究者・技術者が共通の認識を得るように努力することが、今後の設計法を検討する上で意義深いことと思われます。 [▲土質基礎研究室TOP] [▲北海道開発土木研究所TOP] |