第40回地盤工学研究発表会に参加しました


 2005年7月5日から7日までの3日間、函館市で第40回地盤工学研究発表会(主催:社団法人地盤工学会)が開催されました。

 この研究発表会は、年に一度の地盤工学会の全国大会です。大会は、過去最多の1,365編の研究発表(一般発表)を中心に、地盤工学の15のトピックスについて討議する「ディスカッションセッション」、重要テーマについて議論する「展望」、関連する最新技術の「技術展示コーナー」、相次いだ地震の調査報告、得られた教訓や知見などを討議する「新潟県中越・福岡県西方沖地震特別セッション」、「特別講演会 高田屋嘉平と近代経営」、さらに今回初めての試みである関連学会との技術者交流を図る「技術者交流特別セッション」などが行われ、約2,100名の参加者がありました。

 研究発表は、一般、調査・分類、地盤材料、地盤挙動、地盤中の物質移動、地盤と構造物、地盤防災、地盤環境の大テーマに分類され、12の発表会場で同時進行されました。開発土木研究所では以下の14編の論文を発表しました(発表のみの件数、共著は除く)。


《土質基礎研究室》

  • 苫小牧液状化アレーで観測された2003年十勝沖地震の地震動(西本聡)
  • 安定処理した泥炭の土木材料としての特性(佐藤厚子)
  • 遠心力模型実験による羽根付き杭の水平抵抗増加効果の検討(冨澤幸一)
  • 泥炭地盤有限要素法解析用のカムクレイパラメーター決定法に関する検討(林宏親)
  • 平板載荷試験を用いた地盤種別の直接基礎寸法効果特性(福島宏文)
  • 深層混合処理工法による側方流動抑制対策の遠心力模型実験(澤井健吾)
  • 石炭灰、PS灰の土木材料としての検討(城戸優一郎)
  • 打込み鋼管杭の動的・静的鉛直載荷試験結果の比較検証(江川拓也 苫小牧道路事務所:前土質基礎研究室研究員)

《土壌保全研究室》

  • 農業用ダムの貯水敷内堆積土の客土材としての評価(小野寺康浩)

《地質研究室》

  • 光ファイバセンサによる岩盤斜面計測について(日下部祐基)
  • 建設発生土に含まれる砒素の溶出特性について(田本修一)
  • 北海道浜益村川下斜面における崩壊と地質(日外勝仁)

 ディスカッションセッションの「2003年十勝沖地震地盤災害」では、道路、河川堤防、港湾構造物、農業施設、建築物、ライフラインなどの構造物被害、長周期地震動の特徴、火山灰地盤の大規模な液状化現象などについて発表がありました。座長から「今回の地震が教えたものは?」として、長周期地震動による被害、火山灰のような特殊土材料の締固め特性の再評価、対策工による効果などについて参加者に対して意見が求められ、地盤災害に対する今後の地盤耐震や防災対策の在り方について討議がなされました。(写真−1)

 技術展示には北海道開発土木研究所の紹介や、土質基礎研究室の研究成果である「地盤改良中に施工した複合地盤杭の実用的設計法」および「真空圧密工法の泥炭地盤への適用」の説明用パネルを出展しました。(写真−2)

 大会期間中は、函館特有の蝦夷梅雨と15℃を下回る低温が続き、4カ所に分散した会場の移動が大変でしたが、多くの方々と発表などを通じて交流することができました。今年は函館での開催であったため、北海道支部に属する土質基礎研究室は実行委員会のスタッフとして運営に携わりました。多くの方々のご支援ご協力をいただき、ここに厚くお礼申し上げます。

写真−1 研究発表の様子写真−2 技術展示


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