「地盤改良に関する国際会議(6th International Conference on Ground Improvement Techniques)」で優秀論文賞を受賞しました2005年7月18日、19日にポルトガルのコインブラで「6th International Conference on Ground Improvement Techniques」が開催されました。 近年は地盤改良の重要性が各所で高まりつつあります。従来の用途に加え、地震による地盤災害の防止や土壌・地下水汚染の対策などにも地盤改良技術が広く適用されています。この会議は、研究者、実務者、技術開発者などが集まり、地盤改良に関する設計、施工、改良地盤の挙動などについて、実施例や新たな知見を意見交換する場として、概ね2年に1回開催されているものです。 会議では13のキーノートレクチャー、1つの特別講演、そしてヨーロッパを中心に、アメリカ、オーストラリア、日本などから48編の一般論文発表がありました。その中で土質基礎研究室の林宏親主任研究員が発表した論文「Long-term Settlement of Peaty Ground Improved Using the Vacuum Consolidation Method(真空圧密工法で改良された泥炭地盤の長期沈下)」が高い評価を受け、優秀論文賞(Highly Commendable Paper Awards)を受賞しました。 林主任研究員の論文は、泥炭地盤における真空圧密工法の適用性について、試験施工結果に基づき、ポンプの停止時期と改良された地盤の長期沈下特性をまとめたものです(写真−1)。 軟弱地盤対策工法のひとつである真空圧密工法は、既製鉛直ドレーンや真空ポンプを用いて地盤内に負圧を作用させるとともに間隙水を排出することにより、短期間で沈下の収束や地盤の強度増加を図る工法です。今までの研究で、泥炭地盤における真空圧密工法の特長として、地盤強度増加に関する改良効果が高いことを明らかにし、その定量的な評価として、泥炭独自の強度増加率を示してきました。しかし、真空圧密工法の適切なポンプ運転期間や改良された泥炭地盤の長期的な沈下挙動については、未だ不明確な点が残されています。そこで、泥炭地盤において、真空ポンプの停止時期を変化させた試験施工が実施されました。 その結果、残留沈下を抑制するためには、正の間隙水圧が静水圧まで消散する程度にポンプを運転することが適切と判断されました。また、泥炭層および有機質粘土層における沈下予測にあたっては、二次圧密を考慮する必要があり、過圧密比からその定量的な評価が可能なことを明らかにしました。 会議の最後に、実行委員長であるコインブラ大学ピント教授から表彰状をいただきました(写真−2)。
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