「泥炭性軟弱地盤対策に関する技術伝承講習会」を開催しました土質基礎研究室では、7月13日(水)に「泥炭性軟弱地盤対策に関する技術伝承講習会」を開催しました。 ご存じの通り、北海道には泥炭地盤が広く分布しており、その工学的特性から建設事業の著しい障害となっています。泥炭地盤は構造物の重みを支える強度が極端に弱く、例えば道路や河川堤防などを盛土する場合どのくらいの高さまで安全に造ることができるかが問題となります。また、わずかの荷重で沈下しやすく、しかも長期間にわたって沈下がなかなか収束しないことが知られています。さらに周辺地盤の盛り上がりや沈下など周りにも工事の影響が及ぶことがあります。そのため、古くから土木技術者を悩ませてきました。 北海道開発土木研究所では、泥炭について多くの研究課題に取り組んできており、土質基礎研究室では、泥炭地盤上であっても安全な土木施設を経済的に造ることのできる技術開発を目指して研究を進めています。研究で得られた多くの経験と知見を整理し、現場技術者が泥炭性軟弱地盤上に道路などを建設し、維持管理する際に必要な標準的な考え方をとりまとめた「泥炭性軟弱地盤対策工マニュアル」はその大きな成果です。 今回、泥炭の性質を基本に立ち返って学び、その対策工法に関する技術を伝承するため、当研究室で研究に取り組んだお二方を講師としてお迎えするとともに、当研究室から最近の話題を報告しました。 能登氏と真田氏からは、泥炭性軟弱地盤における対策工法や留意点について、具体的な事例を交えて説明がありました。当時の新工法をどのようにして導入したか、その検証した結果がどうであったか、現時点で考えるとどうか、などを解説していただきました。特に失敗事例の解説はなかなか聞けない内容であるため、参加者の興味を引いていました。 林主任研究員からは、泥炭地盤における盛土築造上の問題点と施工管理の重要性、泥炭地盤対策工の動向と最近の研究成果について説明がありました。 参加者は定員の100名を超え、参加希望者をお断りするほどでした。今後とも、過去に研究に取り組んだ方々から技術を学ぶため、このような技術伝承会を企画したいと思います。 ■プログラム
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