第16回国際地盤工学会議に参加しました


 2005年9月12日から16日まで、大阪市の大阪国際会議場(グランキューブ大阪)において「第16回国際地盤工学会議(The 16th International Conference on Soil Mechanics and Geotechnical Engineering ;以後、ICSMGE2005)」が開催され、土質基礎研究室が参加・発表しました。

 ICSMGE2005は,国際地盤工学会(International Society for Soil Mechanics and Geotechnical Engineering; ISSMGE)の大会として4年に一度開催されるもので,我が国では1977年第9回東京会議以来2回目の開催となります。今回はメーンテーマに「地球環境と調和した地盤工学」を掲げており,60余ヶ国から570余編の論文が発表され,1,700名にのぼる参加者がありました。

 論文発表者の人数は国別に決められていて、各国の地盤工学会で事前に投稿論文を審査し発表者が絞り込まれました。発表はハイブリッド形式で、まず各セッションの発表者が全員口頭発表を行い、その後会場の壁に貼った各自のポスターの前で参加者と討論するというものでした。

 土質基礎研究室からは冨澤主任研究員が、セッション2h(杭基礎II)で「A Design Method Concerning Horizontal Resistance of Piles Constructed in Improved Ground(改良地盤に施工する杭の水平抵抗に関する設計法)」について発表しました。冨澤主任研究員の発表概要は、以下のとおりです。

  • 改良地盤に施工される杭基礎などの地中基礎構造物は、地盤改良前の未改良の原地盤強度を用いて設計が行われることが一般的である。
  • しかし、このような設計は、地盤性状が改善されているにもかかわらず、実際とは異なる性状で杭の設計を行うため不合理であり、地盤反力を過小評価することになる。そこで、地盤改良により増加した地盤強度を杭の水平抵抗に反映する設計法の研究を進めてきた。
  • 改良地盤の杭の水平地盤反力を複合地盤の増加せん断強度Cから設定し、水平抵抗の影響範囲を深さ1/β(杭の特性長)から受働土圧の作用勾配θ=45 +φ/2で立ち上げた領域とする設計法を提案した。
  • 実橋を対象とした現場の杭水平載荷試験結果より、提案した設計法の妥当性が、実証的に検証された。
  • 本設計法は、軟弱地盤など杭の諸元が水平抵抗で決定される現場条件では特に有効で、大きな建設コスト縮減が期待できる。

 これに対し、ポスターセッションでは以下の質疑応答がありました。

  • 提案する設計法の実施事例はどれくらいあるか?
    → 設計中も入れ10ケースである。
  • 杭曲げモーメントの最大値発生位置が地盤改良部へと変化するのはなぜか?
    → 地盤改良部内で杭の変形が拘束されるため地盤改良部で杭曲げモーメントが大きくなる。
  • コスト縮減効果はどれくらいか?
    → 実施事例の橋台では約20〜50%の建設コスト縮減となった。
  • Very interesting!
    → Thank you.
写真ポスターセッションの様子
このように参加者は口頭発表を聞いた上で、各発表者と討論を行う。


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