「第50回地盤工学シンポジウム」に参加しました


 2005年11月17日〜18日に「第50回地盤工学シンポジウム」(地盤工学会主催)が東京都の地盤工学会本部において開催されました。土質基礎研究室では4編の論文を発表する機会を得ました。

 地盤工学シンポジウムは、地盤工学に関わる独創性、新規性、有用性のある研究成果をはじめ、地盤工学に係わる調査・施工・現場計測などにおいて資料価値や関心が高い成果などを議論する場です。実務の視点から速報性に重点が置かれています。投稿論文は3名の委員による査読審査が行われ、63編の論文が地盤工学シンポジウム論文集に掲載されました。その中から40編の論文について、口頭発表が行われました。

 北海道開発土木研究所による発表論文のタイトル、発表者、論文の概要は以下のとおりです。

■発表論文
【土質基礎研究室】
「泥炭性軟弱地盤における電気式静的コーン貫入試験の適用」
澤井 健吾
電気式静的コーン貫入試験は泥炭や粘性土を対象として従来から使用されてきたオランダ式二重管コーン貫入試験と比較して、多くの情報が連続して得られることにその特長がある。しかし、シルトや砂質土などを対象とした調査では周面摩擦にばらつきが生じるなどの課題が残っており、特長を生かした利用ができていないのが現状である。そこで、電気式静的コーン貫入試験の特長を活用し、より精度の高い泥炭性軟弱地盤の調査法について検討することを目的として、電気式静的コーン貫入試験および原位置試験、室内試験で求められる地盤諸定数との相関を調べた。
「2003年十勝沖地震における苫小牧液状化アレー観測記録の特徴」
西本 聡
北海道苫小牧市の軟弱地盤において、液状化対策の効果の評価などを目的に液状化アレー観測が実施されている。2003年十勝沖地震では明瞭な上昇が見られる間隙水圧記録や地表面で120cm/s2を超える加速度記録が得られた。表層地盤の非線形化や過剰間隙水圧の上昇により、1次固有振動数は小さな地震動に比べ80%程度にまで低下したことなど表層地盤の非線形増幅特性が確認された。また、周期が5秒から8秒程度のやや長周期地震動が観測され、波群の分散性や粒子軌跡、卓越時間の遅れなどから、勇払平野の深い地盤構造に起因して励起される表面波であると推定された。
「石炭灰の土木材料への有効利用」
佐藤 厚子
石炭火力発電所から発生する石炭灰は、セメント原料や土木材料としての利用が図られているものの、埋立などの消極的な利用も多い。循環型社会の構築を目的として資源の有効利用の観点から、石炭灰について盛土材料、不良土への改良材、気泡混合固化土を含む流動化処理土、造粒化材料などの土木材料への利用を検討した。
「火山灰土における橋梁基礎杭の鉛直支持機構の検討」
冨澤 幸一
火山灰土に施工される基礎構造物は、 主として砂質土地盤に準じて設計されている。しかし近年における火山灰土地盤に関する調査・研究より、 砂質土とはせん断特性の詳細が異なることが報告されている。本研究は、 基礎構造物のうち橋梁基礎杭を対象に、 北海道の火山灰土に施工した鋼管杭・場所打ち杭の押込み試験・衝撃載荷試験および電気式静的コーン貫入試験を数件実施し、 杭鉛直支持力を検証した。本報では、 それらの成果から杭種別・火山灰物性別における周面摩擦力の低減設定の必要性など杭鉛直支持機構について検討した。
【地質研究室】
「切欠きを有する三次元岩盤の遠心力場における崩落実験」
日下部 祐基


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