「通年施工講習会」で講演しました2006年2月15日に札幌市で「通年施工講習会(主催:通年施工推進協議会)」が開催されました。 通年施工推進協議会では、積雪寒冷地域の冬期における厳しい自然条件を克服し、冬期でも建設工事を施工するための技術の研究・開発・普及に取り組んでいます。「通年施工講習会」はこの活動の一環として、北海道、東北、北陸の各ブロックの持ち回りで毎年開催されています。通年施工推進協議会の依頼を受け、当研究所から、西本土質基礎研究室長と嶋田材料研究室副室長がこれまでの研究成果について講演しましたので報告します。 プログラム
●講演
「冬期土工に関する技術」
「コンクリートの凍害について」 ●通年施工化技術に関する取り組みについて
「通年施工を取り巻く状況について」
「雪寒仮囲いの事例について」
「耐寒剤の具体的事例について」 「冬期土工に関する技術」の概要
発表内容は、冬期に土工工事を行う場合に何らかの工夫をして盛土の品質が低下しないように施工できないか検討したものです。また、民間の大規模冬期盛土工事について紹介しました。 積雪寒冷地において冬期に施工された盛土は、満足できる品質を示さない事例が多いことから冬期土工は避けられてきました。品質が低下する理由は、盛土施工時に雪を巻き込んで含水比が増加してしまうことや、凍結土が混入し十分な締め固めが得られないことです。しかし、災害復旧など早期に安全性を確保する必要があり、冬期間に土工工事を行うことが求められる場合もあります。 そこで、冬期土工の可能性を探る上で凍結土を盛土材に使用しても品質を確保できる方法に着目し、当研究所所有の苫小牧施工試験フィールドにおいて、実大盛土実験を行いました。実験の結果、凍結土混入は盛土品質低下に大きく影響すること、混入する凍結土に対して1層当たりの仕上がり厚さを薄くして締め固めることにより、品質が向上することがわかりました。今後、コストを抑えたより実用的な施工法を提案したいと考えます。成果を生かす対象としては、道南・道東の比較的雪の少ない地域における高規格幹線道路や河川堤防の工事が考えられます。 大規模盛土の施工は、工期の短縮と大型重機の回送費削減のため道東で冬期でも施工が行われた事例です。施工の区割りを工夫するとともに熱伝導解析により盛土の施工速度を決定し、凍結土が累積しないように、すなわち残留沈下量が増大しないように施工できたものです。稼働率は夏期施工とほとんど変わらず、また、運搬路は凍結するので補修頻度が少なく作業効率は冬期の方が夏期を10%上回りました。盛土の凍結を克服し、冬期のメリットを活用した成功例といえます。
「コンクリートの凍害について」の概要
コンクリートの凍害は、コンクリートが硬化した後、長年にわたる凍結と融解の繰返しによって徐々に劣化する通常の凍害と、施工初期の「初期凍害」とに区別されています。発表では、まずこの違い、続いて初期凍害を防ぐために用いられている耐寒剤を用いたコンクリートの特徴、ならびに通常の凍害に関する研究の現状について説明しました。このうち、特に初期凍害対策として耐寒剤を用いることにより、簡易なブルーシート養生で所定の強度を発現することができますが、構造物内の温度は場所によって大きく異なります。耐寒剤を用いる問題点として、内部温度の上昇によるひびわれの発生を挙げたアンケート結果もあり、耐寒剤を用いる場合には、温度に関する検討が必要です。 耐寒剤の使用は、コスト縮減にも寄与するため、耐寒剤の長所と留意点を正しく理解した上で、今後も使用していく必要があります。
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