「地盤工学会北海道支部創立50周年記念シンポジウム」に参加しました4月28日(金)に北海道大学学術交流会館において「地盤工学会北海道支部創立50周年記念シンポジウム」が開催されました。
地盤工学会北海道支部は、今年の1月23に創立50周年を迎えました。4月27日には記念式典、記念祝賀会が行われ、その翌日に記念行事の一環として、シンポジウムが企画されたものです。 シンポジウムのテーマは、北海道に広く分布する「火山灰質土」、「高有機質土(泥炭)」といった特殊土と、積雪寒冷地という全国的に見て極めて異なる気候風土が起因する「地盤の凍結・凍上」です。3テーマ毎に基調講演が行われ、その後一般発表が行われました。寒地地盤チームから、3名が以下の発表を行いましたので、報告します。 火山灰質土セッション
「火山灰質土における杭周面摩擦力の評価」 火山灰質土における杭鉛直支持力は現在のところ砂質土に準じて算出される。しかし、火山灰は砂とはせん断特性の詳細も異なることから実現場において支持力不足が生じるなど、火山灰質土における明確な杭基礎設計法が確立されていない状況にある。そこで、火山灰質土に施工された打込み鋼管杭および場所打ち杭の鉛直載荷試験を行い、杭鉛直支持力、特に周面摩擦力の評価を検討した。 その結果、火山灰質土中の杭基礎の周面摩擦力発現傾向は必ずしも現行の砂質土に準じたN値からの設計値とは合致していないこと、降下火砕物と火砕流堆積物では杭周面摩擦力の現れ方がやや異なることなどを明らかにした。 高有機質土セッション
「泥炭地盤におけるプラスチックドレーン工法の圧密促進効果」 バーチカルドレーン工法のうち、プラスチックドレーン(以下、PD)工法は、地盤の変形に追従して折れ曲がったとしても排水性を損なわないことが明らかとなっている。近年、建設コストの縮減が求められており、泥炭地盤に対してPD工法の改良効果が認められれば、経済性に優れた泥炭地盤対策工のひとつとして極めて有用である。そこで、泥炭地盤に対するPD工法の改良効果を確認する目的で、PDの施工間隔および材料を変えた試験施工を実施した。 その結果、プラスチックドレーン工法の圧密促進効果、並びにそれに伴う強度増加が確認された。 地盤の凍結・凍上セッション
「安定処理土の強度と凍上性の関係」 建設工事にともなって発生する土砂のうち、強度が小さくそのままの状態では地盤材料として使用できない不良土を固化材により安定処理してから盛土材料とする場合が増えている。しかし、安定処理した材料の凍上特性については、明らかにした研究例が少ないことから、含水比、一軸圧縮強さ、CBR、凍上の各試験を行い比較した。 その結果、盛土や路床に必要な強度程度の改良では、凍上する可能性が高いこと、改良する前の細粒分含有率が凍上性に関係することなどが明らかになった。
一般発表には、北海道以外に東北、関東、九州の研究者の発表もあり、熱心な質疑応答が行われました。 [▲寒地地盤チームTOP] [▲寒地土木研究所TOP] |