林 宏親 寒地地盤チーム主任研究員 博士(工学)の学位授与される


当研究所 寒地地盤チームの林 宏親主任研究員は、平成18年9月25日付けで、北海道大学大学院工学研究科博士後期課程を在学期間短縮修了し、博士(工学)の学位を授与されました。学位論文の題目は、「泥炭地盤の変形挙動解析に用いる地盤定数の評価法に関する研究」です。

本研究は、道路盛土や河川堤防などの土構造物の築造による泥炭地盤の変形挙動を解析する手法として、弾塑性モデルを導入した有限要素法の有用性を示すとともに、解析に用いる地盤定数の決定法を提案したものです。

泥炭地盤上に盛土を築造した場合、盛土直下の地盤のみならず、その周辺地盤にも大きな変形が生じます。そのため、盛土施工箇所に近接する家屋や既設構造物などに悪影響を与える恐れがあり、事前に泥炭地盤の変形を精度良く解析することが重要となります。

そこで本研究では、盛土による泥炭地盤の変形挙動の特徴を整理した上で、弾塑性有限要素解析結果との比較を行っています。さらに、泥炭の特殊な力学特性を室内土質試験および原位置調査などから検討しています。その結果、泥炭地盤の弾塑性有限要素解析に用いる地盤定数の決定方法および必要な土質試験および地盤調査を簡潔なフローチャートや一覧表の形式で明らかにしており、実務に極めて有益な情報を提供しています。このことによって、泥炭地盤の変形解析の精度向上が図られ、現行設計法の合理化および泥炭地盤対策工のコスト縮減に寄与することが期待されます。

なお、当研究所では、技術力向上策の一環として、学位取得の支援制度を設けています。林主任研究員は、本制度を利用した学位取得第1号であることを付記します。



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