ミャンマーの湿地帯における道路建設に関する対応


 平成20年6月26日に、JICAのミャンマー・サイクロン被害の復興支援担当者が来所し、泥炭地盤上の道路建設に関する意見交換および札幌近郊の工事現場を見学しました。

 ミャンマーでは、5月初旬にサイクロン「Nargis」がイラワジデルタ地帯を直撃し、多くの人命、施設、インフラを奪いました。JICAはその復興に協力してほしいと、ミャンマー政府建設省公共事業公社総裁から要請されています。内容的には、デルタの湿地帯における道路建設技術です。2kmほどの道路を実証事業として施工し、その間に技術指導をしてもらいたいと要請されているそうです。JICAがコンサルタントなどから話を聞いたところ、湿地帯での道路建設は難しく、たとえば、北海道の泥炭地帯での道路施工などを勉強した方がよかろうとの示唆があり、北海道開発局を通じて当チームに相談がありました。

 まず、JICA経済基盤開発部の審議役より、ミャンマーのサイクロン被害と復旧支援要請および現時点でのJICAの復旧支援(特に道路整備)計画について説明がありました。道路整備上の主な問題点として、湿地帯に道路を建設するノウハウがない、雨期(6月〜10月)には工事が出来ない、詳しい現地情報が乏しい、とのことでした。



 それに対し当方より、コストのかからない工法(丸太敷設、トレンチ、サンドマット、敷設材、パイルネットなど)を中心に説明し、現地の植物を敷設する方法、サンドマット・素堀側溝の重要性などをアドバイスしました。さらに、雨期に盛土材が流出する恐れがあるため、土のうなどで路肩を保護する必要についても指摘しました。以上のアドバイスに対して、JICA側から「現地の状況に適している可能性が高いので、今後の参考にしたい」とのコメントがありました。

 その後、札幌開発建設部が建設を進めている道央圏連絡道路建設現場において、泥炭地盤対策工であるDJM施工状況、素堀側溝、真空圧密などの実施箇所を見学しました。現場では、湿地帯での道路建設であることと当地の気象条件を考えると、水の処理が決め手になることを議論しました。最後に、引き続き協力することを約束して終了しました。



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