11月30日に寒地土木研究所講堂において、「複合地盤杭基礎の設計施工法に関する技術セミナー」が、「北海道における複合地盤杭基礎の設計施工法に関する技術検討委員会(委員長:北海道大学大学院 三浦清一教授)」の主催で開催されました。
北海道に広く分布する泥炭性軟弱地盤において杭基礎を設計した場合、許容水平変位量(道路橋では杭径の1%または杭径1.5m以下で15mm)を確保するため多くの杭本数を必要とし、下部工および基礎が大規模化する場合があります。このため寒地地盤チームでは、基礎の補助工法として、軟弱地盤に施工する杭の頭部周辺を地盤改良し改良後の地盤強度を杭の設計に反映し、同時に基礎の耐震性の向上を図る手法を研究してきました。このように、杭と地盤改良を併用する手法を"複合地盤杭基礎"と称します。本手法を用いることで、杭諸元が主に水平抵抗で決定する現場条件では、建設コストを大きく縮減することが可能となります。
複合地盤杭基礎の実現場への採用は、平成20年度までに14橋となり、実務者のための設計施工法に関する技術検討書の早期策定が強く求められていました。そこで、寒地土木研究所では、構造物基礎や地盤改良に知見の深い有識者、学識経験者および行政担当者から構成される技術検討委員会を平成21年4月に設置し、議論を重ねてきました。この結果、この度、「北海道における複合地盤杭基礎の設計施工法に関するガイドライン(案)」(平成21年11月)としてまとめることができ、内容をより深く理解していただくために、セミナーを開催したものです。
本セミナーには、北海道開発局などの行政機関や設計コンサルタントおよび施工会社の技術者165名の参加がありました。各講師の説明に対し、載荷試験の必要性、解析モデルの境界条件の設定、サンドコンパクションパイル工法を対象とした場合の現場活用法、新技術・新工法を普及させる際の障害などについて、質疑応答・意見交換が行われました。
三浦委員長の挨拶
会場の様子