当研究所 寒地基礎技術研究グループの西本聡グループ長は、学位論文を提出し平成25年3月25日付けで、北海道大学博士(工学)の学位を授与されました。学位論文の題目は「軟弱地盤に構築された道路盛土の耐震性評価に関する研究」です。
本研究は、長期間にわたる液状化アレー観測に基づき、火山灰土や砂質土からなる軟弱地盤の非線形増幅特性およびその影響を受けた道路盛土の地震時挙動等を明らかにしています。また、表層地盤の非線形増幅特性の影響を受ける道路盛土本体の地震時挙動解析には、地盤−盛土の連成系としての考察が必須であることを明らかにするとともに、地盤せん断ひずみと等価線形解析法の適用範囲を具体的に提案し、その解析手法の有用性を示しています。
軟弱地盤上の同一地点での数多くの地震動記録の獲得は、極めて限られています。本研究の検討は、長期間の地震動観測で得られた、精度の高い記録によるものであり、これまでにない定量的な評価がなされていることに大きな意義があります。これらの成果は、地震応答解析の精度向上、適切な耐震性を持った構造物の構築や補強に寄与できることから、持続可能な社会基盤整備と維持管理に大きく貢献することが期待されます。